01. 夢

  桜舞い散る4月、学校でも一番大きい桜の木の下に俺はいた。
 桜の春色が舞い散る中、その春のカーテンに隠れるように1人の子がたっている。
 性別もわからない。桜のカーテンが厚すぎて俺には誰なのかわからない。
 学校のにはこんなにもたくさんの花びらを散らせるほどの桜はないはずだ。
 そう頭の隅のほうで思いつつも、俺はその子から目が離せないでいた。


    一際強い風が吹いた後、俺は学校の机にうつぶせになっていた。
 「おい、まだ眠いのか? 授業中ずっと寝てたのに」
 頭の上のほうで声がしたので、声のほうに視線を向けてみると隣のクラスの駒井 蓮が俺の前の席に座っていた。
 蓮は笑いながら妙なはね方をする俺の髪を撫で付けた。
 同い年のくせに、こいつは必ず俺のことを年下のように見る。
 でも俺の器も、そんな扱いを受け入れるようにできていた。
 ふと、外を見るとあれだけ満開に咲いていた桜も、もう若々しい黄緑を交えてすぐそこまで迫っている終わりを教えてくれていた。
 その下をまだ、夢と言う名の甘いチョコレートをもった新入生が歩いていた。
 1年前、確か俺も持っていたはずだった。
 きつく握り締めて、落とさないようにしていたはずなのに、なぜかそれは溶けてなくなっていた。
   「本当にお前、桜、好きだよな」
 蓮の声が普段よりもゆったりとして聞こえる。
 もともとまくし立てて話すやつではないが、一語一語に重さを加えるように、ゆったりと、心地よく俺の耳に入る。
 「好きだよ、見ると、時間がゆっくりに、なる感じ」
 少しでもこの心地よさが伝わればいいと、蓮をまねしてゆっくり話してみた。
 しかし蓮はこのゆっくりさを、まだ俺が眠いととったみたいだ。
 小さく笑って、まだ机にうつぶせのままの俺の頭にまた手をのせた。
 「無気力、無機質なお前が珍しい」
 別に驚くような様子もなく、ただ感じたことを自分にだけ聞こえるようにぼそ、とつぶやいた。
 無機質は違うだろ、そう思いつつも口には出さず、ただ風に舞う桜を見ていた。
 この時期にこうして桜を見るのは好きだ。
 何も話さず、重くない沈黙に包まれて見る桜が大好きだ。
 時々強く吹く風に、高く、高く舞い上がる桜と3階にいた俺は目線を交えた。
 窓のすぐ近くに座っていた俺らは、手を伸ばせば届く距離に桜を感じた。
 自分とは違う手が視界に入り、それは蓮のものだとわかる。
 いきなり伸びてきた腕は確実に何かをつかんだ。
 虫とかじゃないといいな、と思いつつ目で腕を追った。
 ゆっくりと開かれる手の中には桜の花びらが一枚、つぶれることなくおさまっていた。
 思いっきりつぶしたように見えたけれど、絶妙な力加減で桜は空を舞っていたときと変わらず姿でそこにあった。
 見事蓮の手につかまった花びらは、たった一枚だったけれど美しかった。
 そっと蓮の手のひらから拾い上げ俺の手のひらに乗せた。
 少しの風でも動く花びらは、まるで捕らわれたくないと逃げたがっているようだった。
 ふっと息をはき手のひらの花びらを空に解き放った。
 捕まえた張本人である蓮もその花びらの行く先を見ていた。
 もうこんなやつに捕まるなよ、と思いをこめて俺は桜の花びらに笑いかけた。
 今まで寝ていたはずなのに、なぜかまただんだんと睡魔が襲ってきてまばたきが自然と遅くなった。


  「おい、まだ眠いのか? 授業中ずっと寝てたのに」
 いつの間にか寝ていたらしい俺は、頭の上のほうで声がしたので、声のほうに視線を向けてみると隣のクラスの駒井 蓮が俺の前の席に座っていた。
 どうやら寝ていたらしい俺は、自分の席でうつぶせになったままぐるりと見渡せる範囲で教室を見た。
 誰もいない教室は電気も消えていて、ただ太陽の光が差し込んでいた。
 まだどこか現実味がない気がしてぼーっとしていると、はねてる、と蓮が俺の髪を撫で付けてきた。
 こいつは俺と同い年のくせに、俺を年下のような扱いをする。
 しかし、そんな俺も蓮をすんなり受け入れられるように作られていた。
 はるか遠いところの現実の部屋から、舞い散る桜を見た。
 この前は満開だった桜は、もう新しい葉を向かえ、近づく終わりを教えてくれていた。
 「本当に、お前桜、好きだよな」
 蓮のこうしたゆっくりとした話し方が俺は好きだ。
 こうした時の心地よい時間を作り出せるのは俺の知っているやつでは蓮だけだ。
 この心地よさに浸っているように、時計の秒針がゆっくりになった気がした。
 「好きだよ、一秒一秒が、ゆっくり流れる、気がする」
 そう、蓮をまねてゆっくりと話してみた。
 しかしそれは蓮にまだ眠いのか、ととられ、小さく笑った後、ぽんと頭に手をのせられた。
 あれ、こんなやり取りをした気がする。
 なんとなくそんな気がして、蓮の顔を見る。
 まったく同じではないけれど、似たことを。
 蓮はまだ桜を眺めていて、俺と視線が交わることはない。
 蓮の横顔を見ながら、蓮の黒髪が風になびくのを見つめる。
 よく細められる瞳が桜を見ている。
 俺の頭に載せていないほうの手をついて、その上にあごを乗せいていた。
 顔もそこそこいいやつは基本何しても絵になる。
 昔はよく絵を描いていた気がする。
 いつの間にか使われなくなった道具はついこの前、ごみとして姿を消した。
 いきなり一際強い風が吹いて、俺の教室の3階まで桜が舞い上がった。
 すると、勢いよく蓮の腕が伸びて、何かをつかんだ。
 何かを思うわけでもなく、ただつられるように蓮の腕を目で追った。
 そっと開かれる手の中から現れたのは一枚の桜の花びらだった。
 ほら、とその花びらは蓮の手から俺の手へと移された。
 俺の手にのった瞬間、また強い風が吹き桜は俺の手から窓の外へと飛び立った。


  ふと、目を開けると俺は誰もいない教室の自分の席にいた。
 「おはよ、よくねるな」
 声のほうに目を向けるとそこには隣のクラスの駒井 蓮が微笑みながら座っていた。








      あとがき


 夢現―夢のようなげんじつと現実のようなゆめ―


 まだ全体像すら浮かんでないのですがタイトルだけずいぶん前からあったものです><
 夢現、ムゲンと読みます。
 ゆめげんではありません。
 ムゲンです。

 あれですよ、Dグ○の神○ユウさんが持ってらっしゃるあれではないですよ。
 夢に現実で、夢現です。

 あとさっき世界一初恋を見たので若干BLよりですがBLでないですよ^^;;
 BLにする気はさらさらないです。
 だたね、蓮くんの設定がイケメンすぎるんだよ。んで主人公の設定がかわいすぎるんだよ。
 自分でもなぜこうも趣味を詰め込んだのかわかりませんww
 
 今回は主人公は桜が大好きですよって話。
 とりあえず桜が絡むような話が作りたいなー。


ここまで読んでくださったあなた様に感謝!感謝!!